イギリス在住者のブログです。個人・カップル向けに日英両語でカウンセリング行なう相談室を開業しています。こんなに長居をすることになるとは思ってもいなかったイギリスですが、中部都市レスターから思うことを綴っています。
2018年5月22日火曜日
専業主婦?それぞれの生き方でいいのでは・・・
日本ではよく女性の社会進出が遅れているということが取りざたされますが、女性の社会進出が世界一進んでいると思われているアメリカでのこと・・・。
職場で、結婚直後に
「子どもが生まれたらしばらく子育てに専念したい・・・」と私がいうと、
「あ、産後3ヶ月はゆっくりしてね。その間はなんとかするわ。隣に子どもの保育所があるから一緒に来て一緒に帰ればいいわ」とボス。
とりあえず、隣の保育所を見に行ったりしました。(※ のちにその保育所の奥のお庭で大麻が栽培されていたことがニュースになりびっくり・・・)でも、私の「子育てに専念」のイメージや希望はそんな数カ月のことではなかったのです・・・。
そんな職場に、ある日「アメリカのコミュニティー活動や社会福祉活動を見て回る」ということを目的に、日本の優秀な国立大学から女性の学生さんがみえました。将来、国連で女性の人権問題の仕事につきたい旨大学の先生に伝えると、「では、アメリカのソーシャルサービスの活動を見たり、ボランティアをしてくるなりのことをしておいで。」と言われて回っていたのです。
面白かったのは、コミュニティーセンターのActivity CoordinatorだったGailとその子の会話。Gailは、Vernetaが亡くなってから新しく来た白人のスタッフで、私は、いつも本音トークの彼女ともすぐ仲良くなりました。
その女学生さんが帰ってセンターを閉め終わったGailは、2階にすっ飛んで来て
「ちょっと、あの子ったらなんで国連を目指そうかと思ったのか聞いたら、母親が専業主婦ばかりの中で苦労して仕事をしている姿を見て、日本は女性の人権が無視されていると感じたのが発端なんですって。今も専業主婦ばかりだってぼやくのよ。それって本当?」と。
「う〜〜ん、そうかなあ」というと、
「なんでそれをぼやかなくっちゃいけないの?全くわからない。選べるんだったら、私も専業主婦がいい。それが認められているなんて、いい国じゃない!Yumikoも、そんないい国を捨てて、なんでこんなところでこんなストレスフルな仕事してるの?」と。
Gailはそもそもは美大を出て絵を描いていたのです。ご主人は、バンド活動をしていていました。ただ、それでは暮らしていけないし、お互い年金システムの支払いもしないといけない・・・ということで、Gailはコミュニティーセンターで、ご主人は楽器屋さんでフルタイムの仕事をしていたのです。子どもは大好きだったけれど、フルタイムの仕事の上、絵を描いたり音楽をしたりする時間はいるし、経済的に子どもに責任が持てない・・・と子どもは諦めたのだとか・・・。
Gailにとって、「大好きな子どもを育てながら絵を描く時間がある。それでいて、女性も仕事を持つべきなんていうプレッシャーを受けない社会なんて!」という新鮮な発見だったらしいです。
もちろん、分業だってそんなに単純なものでもなく、人はそれぞれの生き方の中で喜びも大変なこともあると思うのですが、面白い反応だなあっと思いました。仕事ってなんだろう?と考えた時、私たち日本人は、お金をもらって働くことだけが働くことではないという文化に育っているのでしょう。
「女性も外で仕事をしなくっちゃいけない」というのも「女性は家の中にいて家族の世話をしなくてはならない」というのと同じく一つの縛りなのかもしれません。
現在の資本主義社会で男性と同じように生きるのが当然であるとすることは、心の中の男性性と女性性のバランスを崩しがちになる・・・と言っておられる人もいます。ここでいう男性性・女性性とは一人の人の中にある性質です。
生き方が多様化する中、その社会のよしとする声との関係性の中でどうやって自分のこころとの折り合いをつけて自分らしく生きていけるのかも複雑になってきてきます。
そういえば、Gailはいつも「女性」の絵を描きつづけていました。「自分でもどうして女性ばかり描いているのかわからないけれど・・・」と言いながら。サンフランシスコで開催された地元アーティストの展覧会でGailの絵が賞をもらい、彼女の描いた「女性」を観にいったのはそれからしばらくしてのことでした。
Merry Christmas 2018
毎年、クリスマスの時期は願わくば雪が降って欲しい・・・と思ってしまいます。 12月の初めに、1週間研修でロンドンに滞在していました。 夜しかゆっくり街を見られなかったのですが、イルミネーションもお店の飾り付けも本当に華やかできれいでした。 それに比...