2018年5月15日火曜日

スペシャルな空間


イギリス、ものすごいお天気続きです。
滅多にないことなので、みんな気分も明るく解放的になっているように感じます。

イギリス暮らしももう11年。正直、もっと早くに日本に帰っておいた方が良かったのではないかと思ったりしない時もありません。英語で何の基盤もないところで仕事していく大変さ、夫以外頼れる家族のいない中での子育て・・・日本にいれば違ったのではないかなんてことがふと頭をよぎることもあります。それは、海外経験が私より少ないのに、長々と海外生活をすることになった夫も同じかもしれません。

カウンセリングを学びに出かけたアメリカからレスターに移住して息子が生まれた後、大学院の恩師であるジョン・ブランド先生をサンフランシスコに尋ねました。私が学生だった当時、窓のない入り口にあるとても小さなお部屋にいらしたのですが、私はそこを訪れるのはいつもとてもスペシャルな気がしていました。

久しぶりに尋ねた時にはブランド先生は、教授になって奥の見晴らしの良い明るい広いお部屋にいらっしゃいました。私が部屋のことをいうと、「ああ、そうそう。いいでしょう、この部屋は誰にも渡さないよ」と茶目っ気たっぷりに笑って見せるのですが、先生の元教え子に対しての深いさりげない優しさは昔のままでした。

話の途中で学科長がドアを叩き、「ジョン、ミーティングだから早く来るように」とせかされました。慌てて立ち上がろうとする私を制して、「大したことではない、気にするな」と苦笑しながら手を横にふって話を続けてくださいました。

そして、息子が生まれた記念にと「URASHIMA TARO」の英語版絵本を下さって「日本には素晴らしい知恵が物語として伝えられているね」と。「日本に帰らずに、西洋諸国で子供を育てることにしたのなら日本文化をその子に伝えることはあなたの責務となってきますよ。」と言われました。わざわざジャパンセンターの本屋さんまで買いに行って待ってて下さったことを知って胸があつくなり・・・。




イギリスのガーデンのカレンダーを手渡すと「イギリスらしい」と喜んで下さってから、

「あなたが今住んでいるレスターとはどんなところですか?」

と聞かれたので、

「日本とサンフランシスコの間のように感じるところです。」

と答えると、深い眼差しでしばらく間があってから、'Very interesting...'とひとこと。

スペシャルな臨床家というのは、何というのでしょう・・・ほんのわずかなやりとりでも、ものすごく深く理解されている気にさせるのです。その場の空間が別次元とでもいうのでしょうか。ブランド先生に質問され、知らぬ間に語っていたこころの風景、私の方はだいぶ時差があって・・・数年後に自分の言葉の意味に気がつきました。

あの「空間」を思い出していると、・・・私の中の様々な迷いは消え去りました。やはり、私にとってはスペシャルな師です。

Merry Christmas 2018

毎年、クリスマスの時期は願わくば雪が降って欲しい・・・と思ってしまいます。 12月の初めに、1週間研修でロンドンに滞在していました。 夜しかゆっくり街を見られなかったのですが、イルミネーションもお店の飾り付けも本当に華やかできれいでした。 それに比...