2018年6月3日日曜日

リバプール② ユングが夢で訪れた街


ビートルズが演奏していたことで有名なCavern Club(キャヴァーン・クラブ)などのライブハウスやパブがある中心街のMathew Street(マシューストリート)ですが、そこにスイスの精神科医・心理学者であるCG.Jung(カール・グスタフ・ユング)の小さな銅像があります。


The bust of Jung in Liverpool
と言っても、ユングは実際にリバプールを訪れたわけではなく、夢の中でヴィジョンとして"Liverpool(リバプール)"を訪れていたのです。そのヴィジョンの内容から、この辺りのことだろう・・・と思われるMathewStreetの小さな広場付近に建てられたようです。

この夢に関しては、彼の自伝的な本”Memories,Dream, Reflections"に書かれています。
“This is the dream I mentioned earlier.  I found myself in a dirty, sooty city.  It was night, and winter, and dark, and raining.  I was in Liverpool."私は、汚い、すすけた街にいた。冬の暗い夜そして雨が降っていた。私はリバプールにいたのだ。
と、夢の報告は始まります。
Mathew Street
そして、雨と霧と煙ですべてがぼんやりしていて薄暗いあるスクエアで、小さな島が陽の光で輝いているのを観ます。ユングはその島に立つ一本のマグノリアの木に惹きつけられます。その木は、陽の光の中に立っており、光の源そのものだったのです。 

不快なリバプールの天候をぼやき、そのマグノリアの木が目に入っていないのが明らかな同郷のスイス人たち一行が、そのリバプールに住んでいるという一人のスイス人に驚きを示すものの、ユングは、
I thought ”I know very well why he has settled here” and I woke up. 私は、なぜ彼(リバプールに住んでいるスイス人)がここに居を構えることにしたのかがよくわかると思い、そして目覚めたのだ。
 と夢は終わります。

夢の中のリバプールの薄暗い情景はこのころのユングの心情を表していたそうです(その頃、ユングはサイエンスの中で何かを成し遂げたいとこころに願っていたという説もあるそうです)が、そんな中にこの世のものとは思えないほど美しいヴィジョンをみたことにより生きていけるのだと。
Liverpool is the ‘pool of life’.  The ‘liver’ according to an old view, is the seat of life – that which ‘makes to live’.” リバプールとは、’命のたまり’である。Liver(肝臓)とは、古くは「命の座」命を生かすものと捉えられていた。
という自らの夢についてのユングのコメントが小さな銅像と一緒に刻まれていました。

ところで’pool of life'って、どういう和訳が適切なんでしょう。やはり、集合無意識のユングですから、1つの命の中のつながりを持った命のイメージがありますが・・・。


マシュー・ストリートにあるキャヴァーンクラブ

そういえば、リバプール初日の朝、

「僕、寝ながら起きてた〜。それで、朝だうれしいって!」

と息子。???と思いながらも、息子は日本語がとみに苦手なので、あまり注意も払ってなかったのですが、小さな集合無意識?である家族の小さい人からの言葉で始まった不思議です。

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