2018年10月22日月曜日

レインボーフラッグに思うこと②

全米で同性婚が合憲化されたのは、オバマ政権下の2015年のこと。その時、レインボーカラーに照らしだされたホワイトハウスや抱き合って喜ぶ様々なカップルの姿をいろんな想いとともにイギリスのレスターで眺めていました。


「レインボー ホワイトハウス」の画像検索結果

アメリカに滞在していたのは、2000年から2006年のこと。性的マイノリティーの人たちが多数暮らすサンフランシスコ市にあって、全米にネットワークをもつカソリック系のNPO法人で働いていた私は、この同性婚の合法化へ向かう時代の波の中にあって貴重な経験をしました。

同性愛者が不当な扱いをうけるべきではないという認識は広まっていますが、カソリックでは同性婚は認められていません。現ローマ法王は、先の2代の法王と比べ、同性愛を指向する人たちへの謝罪や交流もする開かれた法王といわれていますが、法王庁が同性カップルの結婚を認めているわけではありません。

勤めていたソーシャルサービスエージェンシーは、カソリック系とはいえ、その資金は教会だけではなく公的資金にも援助されおり、例えば、私のお給料はその大部分がサンフランシスコ市から出ていて多様性に対応するための市のプログラムの一部でもありました

そんなカソリック系NPO法人で問題となったのは「Adoption(養子縁組)」のプログラム。アメリカで同性カップルも対象に養子縁組が行われていたことを受けて、ローマの法王庁より即刻同性カップルへの養子縁組をやめるようにというお達しがあったのです。差別を禁止する州の法律とローマとの葛藤に堪え兼ね、このチャリティーの養子縁組のプログラムは東海岸から次々へと閉鎖されました。レインボーフラッグ発祥の地であるサンフランシスコ支部は一体どうするのか、当時好奇の目も含めかなりの注目が集まっていました。

そんな中、当時そのNPO法人のトップだった人のスタッフに向けた話にはとてもこころを動かされるものがありました。随分昔のことで、私の記憶を辿って書くことなので当時の言葉そのままではないかもしれませんが・・・こんな主旨だったと記憶しています。
「自分の家族は三世代の間敬虔なカトリック教徒でした。そして息子はゲイであった。神は家族を愛せよとも言われる。私は息子がゲイであることを受け入れ、息子を愛している。ソーシャルサービスの組織として、愛情深い家庭を必要とする子供を愛情深い里親のもとにマッチングすることがAdoptionの使命ならば、その条件を満たすカップルを見つけ養子縁組をサポートしたら、それがたまたま同性愛者だったということではないのか。自分は今回のことについて大変悩んだが、サンフランシスコではこのまま養子縁組のプログラムを閉鎖することもなく同性愛カップルをその対象から排除しないことを決めた。」
スタッフから沸き起こった拍手。 そして一部司祭の小児性虐待のニュースやLGBTコミュニティーに対する抑圧などといった問題で、不安な思いをしていたカソリック信者やその他の人たちのために彼はこう続けたのです。
「ここサンフランシスコでは、同性愛者にたいする抑圧を払拭しようとするあまり、同性愛に対して懐疑的な人たちが疑問の声をあげることも許されないという風潮がある。そういった人たちをすぐにHomophobia(同性愛恐怖・嫌悪者)といって非難するのもまた、ひとつの抑圧ではないだろうか。すぐに受け入れることが難しい人たちもいることを理解してほしい。」
と。異なる2つのものを「我がこと」として悩み愛してきた彼が、こころ尽くして双方を護ろうとする言葉を、ソーシャルサービスのために集まったいろんなバックグラウンドをもつスタッフは聞き入っていました。キリスト教徒ではない日本人の私もその一人で、いろいろと考えさせられました。

対立や分断ではなく不思議な道が現れたのはそれからまもなくしてからのことでした。


この続きはまた今度・・・。



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