12枚の窓全部をロシア出身のフランスの画家マルク・シャガールが手がけたという小さな教会がイングランド・ケント州のTudelyという村にあります。
シャガールが大好きな私にとっては、夢のような空間・・・。
この地に住んでいた21歳のお嬢さんを海で亡くしたご両親の依頼によって、シャガールは東側に一枚のステンドグラスを手がけます。当初あまりこの仕事に乗り気ではなかったようですが、1967年にその一枚の窓の設置に訪れ、自然光の入るこの小さな教会に接して残りのすべての窓も手がけることにしたそうです。
祭壇のある東の窓は、海で亡くなったサラさんの死と再生がモチーフになっています。シナゴーグは、ロシアの昔の教会のようだと後日友達が教えてくれました。
北側の物悲しい青い窓と対照的に、
南側には希望と再生を思わせる黄色の窓があります。
南側には希望と再生を思わせる黄色の窓があります。
見過ごしてしまいそうな、素朴で小さな教会(All Saints' Church) は、
訪れた時に「他に誰もいない」なんていうひと時があったほど静かな礼拝所。
柔らかな優しさに囲まれて、教会をでてくるころには
「悲しみ」は「哀しみ」に変わってくるような感覚が・・・。
パリ・オペラ座の天井画なども手がけた20世紀を代表する画家であるシャガールは、イングランドのこの小さな教会のすべての窓が完成した1985年に、自身は98歳でこの世を旅立っています。